匠の仕事 tanico MAGIC

レストラン ラ フィネス店内

設計からのコメント

古典的な正統派フレンチをベースにモダンな感覚を取り入れたフレンチ。これがレストラン ラ フィネスの特徴です。最近では和の要素を取り入れたフレンチや、最新の機器を取り入れかつてない食感に食材を仕上げたフレンチも話題になっています。若くしてフランスへ渡り、12年間働いてきたシェフは伝統的なフランス料理をお客様(日本人)にも受け入れ易くし、さらにオリジナリティを加えたお料理にこだわっています。

「アルバイトでも料理ができてしまう最新機器や、便利な厨房機器は沢山あると思いますが、私にはそこまでの機器は必要ありません。私というものがあるのだから、一般的な厨房機器で充分です。ただ、スチームコンベクションオーブンとブラストチラーは衛生性と効率性を考えるとどうしても必要になるので、導入しました。」とシェフから厨房機器の選定理由についてこうお話しいただきました。「古典的」「モダン」というシェフのお料理のスタイルと同様に厨房機器も「古典的な機器(昔からごく一般的に使用されてきた厨房機器)」をベースに「モダンな機器(比較的最近になってできた厨房機器)」をお納めしました。

日本で御自身のお店を持つにあたりホームページで当社を知り、直接連絡をいただきました。本コーナー「匠の仕事」も見て頂いており、今回、御紹介させて頂けることを大変嬉しく感じております。


レストラン ラ フィネス

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衛生性

衛生基準が厳しく定められているフランス時代の習慣から、週に一度は徹底的に清掃を行うシェフ。フランスから帰国した際、日本の衛生基準が曖昧で、明確に定められていないことに驚かれたそうで、日本でも衛生的で清掃性の高い厨房をご要望されました。


床の施工

ドライ厨房の設計図

厨房の床は側溝をなくし、桝のみとし、機器を全てマウントベース仕様にすることでドライ厨房(※1)にしました。ドライ厨房の考え方は「床の乾燥状態を保つ」のではなく、「洗浄した後、しっかりと拭いて殺菌が繁殖しにくい状態にする」事です。濡れた床は菌の繁殖を促す事から、床の清掃で水をまいた際に早く乾くようにするため、洗浄側と熱機器側の床にあえて段差をつけ、それぞれに水が流れ込まないようにしました。

ベースは部屋の隅などの流れが悪い所に水溜りができないように機器の無い部分にも設けました。


ドライ厨房
ドライ厨房

※1ドライ厨房とは、厨房環境を衛生的に保つために、厨房が乾いた状態で調理を行なう形態のこと。床を常に乾燥状態にするのではなく、しっかりと洗剤で洗ったあとにふきあげて細菌が繁殖しにくい状態に保つことが目的。


保存・収納

食器、器具類の収納

食器、器具類の収納
扉は折り取っ手の吊滑車仕様とし、ゴミ溜まりの軽減を図りました。

食材の保存

食材の保存
保管場所を細かく分け、食材同士による接触汚染を防ぐため、この規模の厨房に対しては余裕のある数の冷蔵・冷凍機器を設置しました。


オリジナルロゴプレート

厨房内、ガスレンジ正面の壁に取り付けるロゴプレートを製作しました。

ブラックステンレスヘアラインの板材をベースに鏡面のロゴと枠をはめ込む象嵌(ぞうかん)技法を採用。清掃性にも配慮し工具を使わなくとも取外し可能な固定金物を選定しました。

元々は厨房用として製作したプレートですが、完成品をとても気に入って頂きお店のエントラス用にもご発注いただきました。お店の顔である、エントランスに飾っていただけたのは設計者として嬉しい限りです。

ロゴプレートロゴプレート


吊戸棚

吊戸棚
吊戸棚

ドリンクエリアの吊戸棚は、台の上に置く物の高さに合わせてフレキシブルに対応するため、底板部も可動式としました。少しでも多くの収納を確保してほしいとの御要望と将来性を両立できました。

その他こだわり部分

デシャップ台

デシャップ台

厨房の中心にあるW2720mm×D1240mmの1枚展板の大きなデシャップ台は、作業効率を考慮して大きさを算出しました。

作業の場面毎に自由に活用できるように、台の上にはヒートランプとコンセントを吊るしただけで、上棚や吊戸棚などは設置せず、シェフとパティシエの2人がこの台を挟んで効率的に作業を進められるようにしました。

当初、60mm厚の重厚な角折り天板を検討していましたが、打合せを進めていく中で台の中にブラックステンレスを取り入れたいとの御要望を頂きました。部分的な模型を製作し見え方や納まりを検討しながら、最終的には20mm厚の天板から1段下がって40mm厚のブラックステンレスの帯を配する形としました。

上部に何もないことも合わせ、シンプルですが使いやすくきれいな作業台に仕上がりました。

フォトギャラリー

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