匠の仕事 tanico MAGIC

南国酒家店内

設計からのコメント

今回ご紹介する南国酒家様は「広東料理」をお出している中華料理店です。

広東料理は中国の広東省や香港で食べられているお料理で、その温暖な気候や山海の珍味に恵まれた地勢から取れる様々な種類の食材を使用し、味付けは素材の持ち味を活かすために、控えめになっているのが特徴です。また、点心類をつまむ「飲茶」が盛んなのもこの地方です。

南国酒南国酒家様からのご要望は「3方から見える中華厨房」ということでした。
中華厨房をあえて見せ、しかも3方から見えるようにするのは、希なことですが中華料理は強い火力を用いて食材の温度を上昇させるために「あおり」(具材を鍋肌にまんべんなく触れさせるために、鍋を大きく動かすこと)ということをすることからもわかるように、調理をする際のその激しい動きや燃え上がる炎は見ているだけでも楽しめます。

厨房は客席、さらにはお店に面した外の通路側からも見える場所に位置しており、このような見える中華厨房をお手伝いいたしますのは、私も初めての試みでした。通常ではお客様に見えない場所に位置している厨房機器を見栄え良く見せたり、それらを見えない場所に納めるためてしまうために様々なご提案をいたしました。特に客席から見える、一体型のドリンクコーナーは力を注いだ部分です。


南国酒家
南国酒家の設計図
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見せる為の工夫

吊り戸棚

吊り戸棚

吊り戸棚は意匠性を考慮して、取手のない観音扉仕様をご提案し、扉の底部を斜めにカットすることで、手に引っかけて開閉しやすくしました。

電気貯沸式給湯器はそのまま設置するのが一般的ですが、今回は見た目を考慮して、吊り戸棚に収納できるようにしました。


洗浄ライン

洗浄エリアも客席から見える設計となっているため、ソイルドテーブル(下膳された食器を整理して、食器洗浄機に入れる作業する台)の台下にあるダストボックスはステンレスの観音扉を取り付け、見えないようにしました。下膳されてきた残飯はワークトップと目隠しの観音扉のすき間から、ダストボックスに入れる仕組みになっています。

洗浄ライン
洗浄ライン

一体型ドリンクテーブル

一体型ドリンクテーブル

ドリンクエリアは、店内のどの客席からも見える場所に位置しているため、特に力を注いだ部分です。

南国酒家様は、ドリンクの種類が豊富なので、それに対応できるように、様々な機能が集約されており、見た目にも気を配った一体型のドリンクテーブルを製作しました。

ドリンクテーブルは、アイランド型にしてセンターにグラスラックを設け、効率の良い動きができるように作業内容に応じた配置にしました。一方にはドリンクを作る設備機能を集中させ、もう一方は、作業場所として広いスペースを確保するために、台下に冷蔵・冷凍関連機器を設置することによって、テーブルトップには機器が出ないようにしました。

外観はすっきりと美しく見せるために、R加工を施し、巾木(機器の地板と床面の隙間に施工する板材)を取り付けました。さらに、ドリンク側に炭酸飲料ディスぺーンサー、生ビールディスペンサーやアイスビンやシンクを設置し、ディスペンサー類の機器やビール樽は全てテーブル下の観音扉に収納。また、観音扉は取手をつけず、扉の上部に手をかけて開閉できるように凹みを設けました。


冷蔵ショーケース

冷蔵ショーケース

お土産用の冷蔵ショーケースは、既製品では、店内の雰囲気に合う製品がなかったので、オリジナルのショーケースを製作しました。

既製品の冷蔵ショーケースに加工を施し、機能面でも意匠面でもお客様のイメージ通りのものを製作いたしました。ステンレスフレームは木と調和がとれるように、ステンレス材に渦巻き状の研磨を施したバイブレーション仕上げのステンレスを使用しました。

ステンレス加工を得意としている当社では、ご要望がありました際にはワインセラーや衣料品店の陳列棚に至るまで、厨房機器以外でも様々な製品も製作しています。


完全フルオーダーの中華レンジ

火が要の『中華料理』 火が要の『中華料理』

中華理は強い炎をコントロールしながら、食材に味や香りを染み込ませていく調理方法をとります。中華レンジの火口は調理内容に応じて、炒め用、煮込み用、スープ用、湯煎用と数種類がついており、皆様、火口においては強いこだわりを持っていらっしゃいます。南国酒家様も同様で、主に煮込みと炒め用に使用されるバーナーは当社が通常扱っているものに比べて、熱量が大きいバーナーをご指定されました。

タニコーのオーダー中華レンジ タニコーのオーダー中華レンジ

マンジュウはトッププレートと絞り加工で一体型にすることで、浮きがなく激しい中華の仕様に耐えられる構造になっており、大きさは使用鍋寸法に合わせた大きさです。さらに、今回は中華レンジを扱う方に合わせて、火力調節のレバーの形状をご要望の長さに変えました。


完全フルオーダーの中華レンジ

その他特徴部分

点心を蒸す機器

点心を蒸す機器
用途に応じた使い分け

点心を蒸すために、ガス蒸し器、卓上電気蒸し器、スチームコンベクションオーブンと3種類の異なったタイプの機器を使い分けて使用されています。

ランチ時は短時間に大量に入ってくる点心のオーダーに対応するため点心はガス蒸し器で大量に蒸してから、電気の卓上型蒸し器で軽く蒸気をあてながら保温をしておきます。


扉の仕様を変更して問題解決

ディナータイム時、オーダーが入るごとに一品一品、点心をガス蒸し器に出し入れをしていると、扉の開閉回数が多いため蒸気が逃げてしまうことにより、提供スピードが遅くなってしまったり、常に安定した品質の料理を提供すことが難しくなるという問題が生じます。そこで、蒸気の漏れを軽減するために、通常では1枚の扉を2枚仕様にしました。

また、焼く・蒸す・煮る・炊飯など様々な調理ができるスチームコンベクションオーブンは、オーダーが多く蒸し器では対応しきれなくなった時に点心を蒸したり、チャーシューやスペアリブ等を作る時にも使用しています。


トレー専用架台

トレー専用架台

ランチタイムでは、ランチセットとして主菜、ご飯、スープ、デザート等をトレーに載せて提供するスタイルをとっている南国酒家様。

スピーディーな提供をするために、できあがった料理が厨房から出されるラインには、トレー専用架台を設けました。架台は寸法を測り、置く枚数や取り出しやすい方向を想定して製作いたしました。


カトラリー入れ

カトラリー入れ

使用頻度の高いオーガナイザー(フォーク、ナイフ、スプーンなどを収納するトレイ)類は中身がすぐに確認でき、取り出し易くするため、引出正面の面材は取り付けませんでした。

フォトギャラリー

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