匠の仕事 tanico MAGIC

ホテルニューグランド店内
第2回 前編 / ホテルニューグランド こちら

デザート厨房

今回のプロジェクトでは今まで、階をまたいであった2カ所デザート厨房を統合し、衛生性に優れたデザート厨房にすることが目的でした。

前編でここで紹介したメイン厨房と同様に、デザート厨房も汚染区域と非汚染区域を明確にするため、前室、製菓仕込み・焼成室、製菓仕上げ室、アイスクリーム室、倉庫とエリア別けをし、衛生管理を徹底させ、さらに、シンクや作業台、調理台等もメイン厨房と同様の衛生性に配慮した機器をお納めしました。

初期段階のお打ち合わせでは、2カ所あったデザート厨房を統合するにあたって担当の方は「本当にあんなに沢山の機器を納められるのか?無理なのでは?」と心配されており、お打ち合わせ時にはいつも厳しいご意見をいただきました。

しかしながら、無事に納めきった時には、私に厚い信頼を寄せていただいており、このことが大きな自信につながりました。今となっては、気さくな会話もでき、とても良い関係を築けているお客様の1人です。

デザート厨房

アイスクリーム室

アイスクリーム室

衛生管理は勿論のこと、徹底した温度管理の下で安全で高品質の物を作るために、専用の部屋を設け、アイスクリームを作る際に必要な機器(材料を低温殺菌を行う機器、冷却・攪拌する機器)を設置しました。

アイスクリームやソルベは時期により異なりますが、週に2度、1回あたり800食程度を作り、ホテル内だけではなくホテル外店舗のバーやレストランにも提供しています。


ベーカリー機器

当社のベーカリーオーブン「VESTA(ベスタ)」シリーズのデッキオーブンとコンベクションオーブンをお納めしました。

ベスタシリーズはお客様のご要望に応じて様々なカスタマイズができ、温度管理が正確なことからご好評をいただいているオーブンです ニューグランド様ではお菓子類の焼成のみに使用しています。

ベーカリー機器

急速凍結庫

急速凍結庫

ニューグランド様では宴会場やレストランが特に賑わう祝日や週末に向けてお菓子類の冷凍保存が必要になってきます。

しかしながら、冷凍庫等で時間をかけてお菓子を凍結させると、食品の細胞を破壊してしまい、さらには、水と細胞、油脂とが分離し、お菓子にとって大切な食感、風味までをも失ってしまいます。

この問題を解決するにため、急速凍結庫を導入し、お菓子を急速に凍結することによって、スポンジのぱさつきやムースの沈みを抑え、風味を損なうことなしに保存できます。


スーパーレール

デザートエリア内にある倉庫には、常温で保存できる食品が保管されています。こちらでは、倉庫のスペースを有効活用し、必要な食品がすぐに見つけられ、取り出せるように棚の底部にレールが付いた片手でも楽に移動できる、レール式移動棚「スーパーレール」を採用しました。

棚が移動できることにより、業務の合理化を図れ、さらに使い勝手もいいので、「他の部屋でも導入したい。」というお話もいただきました。

スーパーレール

湯煎器付ミキサー

湯煎器付ミキサー

温度や材料の混ぜ方の微妙な違いによって、仕上がりが大きく左右されるお菓子。お納めした機器はお客様の使い方やご要望をじっくりとお伺いし、最適なものをご提案しました。

「ソルベをふわりとさせるために使用するキメの細かなしっかりとした泡は、冷やして攪拌したい」。「スポンジ等で使用するようなフックラとした泡を作る時は温めながら攪拌したい」。とご要望をいただきましたので、ミキサーボールの下にヒーター付きの容器がついており、お湯や、氷水を入れて使用できる湯煎器付ミキサーをお勧めしました。

以前お使いになっていたミキサーは湯煎器が付いていなかったため、湯煎したり冷やしながら攪拌する際は大きなボールを二つ用意して大変だったとおしゃっていましたが、このミキサーの導入によって大幅な時間の短縮につながり、作業効率があがったという嬉しいお言葉をいただきました。

また、ミキサーは最新タイプの製品もありましたが、お客様は「以前使っていたタイプの方が使い慣れていて思い通りの攪拌ができる」。というお話でしたので、あえて旧タイプの製品に湯煎器を付けたタイプをお納めしました。


ユニットレンジ

グリドルが付いたユニットレンジはパンケーキやフレンチトーストのために特別に設えた専用レンジです。

時期にもよりますが、パンケーキは土日は200枚、平日は150枚程度を朝食ビュッフェ用に焼き、さらに、フレンチトーストのオーダーにも対応します。

グリドルではパンケーキを焼き、レンジはデザートで使用するソース類や、フレンチトーストに軽く焦げ目をつけるために使用します。また、フレンチトーストのつけ込み液を染け込ませ、再度、じっくりと焼くためにオーブンを使います。

基本的には朝しか使用しないため、使用しない時はスペースの有効活用を考えてフタをかぶせて作業台としても使用できるように提案しました。

ユニットレンジ

フランスレンジ

ホテルの厨房は一般飲食店の厨房に比べ、稼働時間が長いため、過酷な使用にも耐えられる堅牢な作りのシステムレンジをご提案いたしました。

厚さ3mmという分厚いステンレスを使用し、継ぎ目がなく一体成形された幅3.3mのシステムレンジはオーブン、レンジ、チャコールグリラー、グリドル等、お客様のご要望にお応えし、様々な機能を取り入れました。


火口 火口

「大きな鍋も使用するから、大きなコンロがほしい」。というご要望がありましたので、通常よりも経が大きいΦ450ゴトクを設置し、オーブン部分も同様に広めの設計にしました。また、大きい鍋だけではなく小さい鍋にも対応できるように、ゴトクの爪は長くしました。

チャコールグリラー チャコールグリラー

料理に合わせて、焼き目を変えたいというご要望がありましたので、ロストルは太い焼き目用(1)と細い焼き目用(2)と二種類を製作しました。 ロストルは簡単に取り外せて、自由に交換してお使いいただけるようにしました。


洗浄機関連

ここでは、メイン洗浄セクションとポット・パン洗浄セクションをご紹介します。

大型ホテルのメイン洗浄は、下膳された食器類・グラス類、シルバー類を洗い、拭いて、磨き上げて管理するスチュワードという特別なセクションがあります。この部門は宴会の時などに、人数や料理内容に合わせて必要な数の食器類を用意するとても重要な部門であり、充分なヒヤリングと打ち合わせを経て、その必要洗浄能力に合わせた洗浄機器と戸棚類の決定をします。


水切り 水切り

一枚ステンレス板で仕上げた3.5mのソイルドテーブルは大量の食器を処理する状況に合わせて2mm厚のステンレスを使用し、水切り(水滴が落ちないように一段落とした加工)部分は通常よりも深めに50mmに落とした加工にしました。

グラス洗浄ライン グラス洗浄ライン

グラス洗浄ラインのシンクは処理能力を高めるため、グラスラック二つを同時に扱える仕様をご提案しました。


ホットエリアの洗浄ライン

ホットエリアの洗浄ライン

鍋・ボール・バットの調理器具を洗うポット・パン洗浄セクションには洗浄後の器具や鍋類を置くラックは大きい物や重たい物を収納するため、棚板は通常よりも厚めのステンレスを使用し製作しました。また、清掃性を考え、さらに背の高い物も収納できるように、取り外しができる仕様にしました。



その他特徴部分

粉入れカート

既製品の粉入カートは、大きくて使いづらいというお話があったので、小さめの粉入れカートを製作いたしました。  カートは扱いやすいように、キャスターと持ち手をつけ、内側は清掃性に配慮したR加工を施しました。さらに、設置スペースを考え、小麦粉に比べて使う分量が少ない、砂糖と塩のカートは間に仕切りをつけ、一つのカートでまかなえるようにしました。製作時は意図していなかったことですが、移動が簡単で、高さと大きさが使いやすいことから、現在は、移動式の作業台としてもお使いいただいております。

粉入れカート

アイスクリームストッカー

アイスクリームストッカー

製造したアイスクリームを保管する冷凍庫。
こちらの冷凍庫の扉は上面に開閉するタイプでしたが、その仕様ですと、扉が上に設置してあるコールドショーケースにぶつかってしまうので、スライド扉タイプを製作いたしました。ステンレス製にしたことで、衛生性が向上し周りの厨房機器とも調和がとれました。

フォトギャラリー

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